近代スポーツの病理を超えて ―体験の社会学・試論―
小丸 超著
発行 2018年2月26日
定価(本体1,500円+税)
ISBN978-4-86413-104-9
A5判並製・本文120ページ
本書は大きく2つのことを主張する。1つは、近代スポーツ―主に競技スポーツ―は必然的にアスリートを心身の不健康に追い込むという点であり、
もう1つは、そうした心身の不健康を回避するためには新しいコーチング方法が必要であるという点である。
おそらく、こうした主張はありふれたものと思われるだろう。というのも、競技スポーツを導く業績主義の弊害はしばしば指摘されてきたし、
そうした弊害への対策もある程度は講じられてきたからである。しかし、本書は本書なりの独自性を持っている。
それは、こうした問題について「体験」という視点から一貫して論じる点にある。本書では、近代スポーツにおける病理現象を「体験」の視点から再解釈し、
その上で「体験」を誘発するコーチング方法を考察するだろう。 (本書「序章」より)
【主な目次】
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序章
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第1章 問題・方法・構成
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第2章 アスリートバーンアウトの概念
- はじめに
- 1.心理学系パラダイム
- 2.社会学系パラダイム
- 3.体験論系パラダイム
- おわりに
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第3章 アスリートにおけるキャリアトランジション問題
- はじめに
- 1.理論枠組の構築
- 2.事例の分析
- おわりに
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第4章 方法としての「直観」
- はじめに
- 1.ガルウェイのコーチング論
- 2.結城匡啓のコーチング論
- 3.潜り込みに関する理論的考察
- おわりに
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第5章 「コツ体験」の構造と誘発
- はじめに
- 1.コツとカンの語義
- 2.黒田亮の立体心理学
- 3.ベルクソンの動的図式論
- おわりに
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終章
- 1.議論のまとめ
- 2.体験の社会学の意義
- 3.今後の課題
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